「SIerはやめとけ」という声をよく耳にしますが、実際のところどうなのか気になっていませんか?
この記事を書いている私は、文系出身でSIerに就職し、その後Web系エンジニアへと転職した経験があります。就活当時はSIerの実態をよく知らないまま入社し、入社後にさまざまなギャップを感じました。同じような思いをしている方に、リアルな体験談を届けたいと思ってこの記事を書きました。
結論から言うと、SIerが合う人・合わない人は確かにいます。ただ、スキルアップやキャリアの自由度を求めるなら、早めに転職を検討することをおすすめします。
この記事では「SIerはやめとけ」と言われる具体的な理由、それでもSIerが合う人の特徴、そして文系エンジニアが転職を成功させるための具体的なロードマップまで、くわしく解説します。
📌 この記事でわかること
- SIerが「やめとけ」と言われる5つの理由
- SIerが向いている人・向いていない人の違い
- 文系エンジニアがSIerから転職しやすい理由
- 転職を成功させるための4ステップロードマップ
SIerとは?まず基本をおさらい
SIerとは「System Integrator(システムインテグレーター)」の略で、企業のシステム開発・運用を丸ごと請け負うIT企業のことです。富士通・NTTデータ・NEC・日立製作所などの大手から、中小の下請けSIerまで規模はさまざまです。
日本のIT業界はこのSIerを頂点とした「多重下請け構造」が特徴で、元請けSIerが仕事を受注し、下請け・孫請けへと業務を振っていく構造になっています。この構造については、IT業界の構造をわかりやすく解説|元請け・下請け・多重下請けとは?でもくわしく説明しています。
📌 SIerの主な仕事内容
- 顧客企業からシステム開発を受注する
- 要件定義・基本設計・詳細設計・開発・テスト・運用保守を担当
- 大規模案件では複数の下請け会社を管理するPMやPMO業務も
- 銀行・官公庁・製造業など大企業の基幹システムを扱うことが多い
SIerはやめとけと言われる5つの理由
では、なぜ「SIerはやめとけ」と言われるのでしょうか。実体験をもとに、5つの理由を正直にお伝えします。
① 技術スキルが身につきにくい
SIerの仕事の中心は「上流工程」と呼ばれる要件定義・設計・ドキュメント管理です。実際にコードを書く機会が非常に少なく、気づけば資料作成とExcel管理ばかりという状況になりがちです。
私自身、入社2年目ごろから「自分、エンジニアとしてのスキル本当に伸びてるのか?」と不安を感じていました。GitHubを開く機会もほとんどなく、プログラミングスキルが錆びていくような感覚がありました。
エンジニアとして市場価値を高めたい人にとって、これは大きなデメリットです。
② 古い技術・レガシーシステムに縛られる
大手SIerが扱う案件の多くは、20〜30年前から動いている銀行・官公庁の基幹システムの保守・改修です。COBOLや古いバージョンのJavaが現役で動いている現場も珍しくありません。
最新のクラウド技術やモダンなフレームワークとは無縁の現場も多く、転職市場で通用するスキルが積みにくい環境です。経済産業省も「2025年の崖」としてレガシーシステムのリスクを指摘しており、この問題は業界全体の課題になっています。
③ 多重下請け構造によるストレス
日本のSIer業界特有の「元請け → 一次請け → 二次請け → 三次請け…」という多重下請け構造は、働く側にとって大きなストレスになります。
下請けになればなるほど単価が下がり、労働環境も悪化しがちです。元請けSIerの無理な要求を下請けに丸投げする構図も多く、板挟みになって消耗するエンジニアも少なくありません。
④ 年功序列でキャリアアップが遅い
大手SIerは日本型の年功序列文化が色濃く残っています。どれだけ成果を出しても、評価や昇給が「年次」に大きく縛られることが多いです。
「実力で正当に評価されたい」「早くキャリアアップしたい」と思っているエンジニアほど、この文化はフラストレーションになります。若いうちに成長できる環境を求めるなら、SIerは向かない可能性が高いです。
⑤ 客先常駐で帰属意識が薄れる
SIerの働き方として一般的なのが「客先常駐(SES)」。自社ではなく毎日クライアント先に出勤するため、自社の同僚とはほとんど関わりがありません。
「自分はどこの会社の人間なんだろう…」という孤独感や、プロジェクトが終わるたびに環境がリセットされる不安を感じるエンジニアは多いです。精神的な消耗につながりやすい働き方です。
SIer・Web系・自社開発を比較してみると
「SIerはやめとけ」と言うだけでなく、他の選択肢と比べてみましょう。【IT業界図解】SIer・Web系・自社開発の違いを正直に比較してみたでも詳しく解説していますが、ざっくり比較するとこうなります。
| 項目 | SIer | Web系 | 自社開発 |
|---|---|---|---|
| 技術スキル | 身につきにくい | ◎ 最新技術が多い | ◎ 深く身につく |
| 安定性 | ◎ 大手は安定 | △ ベンチャー多め | ○ 比較的安定 |
| 年収 | ○ 大手は高め | ◎ 実力次第で高い | ○ 中程度〜高め |
| キャリア自由度 | △ 年功序列 | ◎ 実力主義 | ○ 比較的柔軟 |
| 働き方 | 客先常駐が多い | ○ リモート多め | ○ リモート多め |
それでも「SIerが合う人」もいる
批判ばかりになってしまいましたが、正直に言うとSIerが向いている人も確実にいます。やみくもに「やめとけ」と言うつもりはありません。
✅ SIerが合う人の特徴
- 大企業の安定した環境・充実した福利厚生を重視する人
- プロジェクトマネジメント・上流工程のキャリアを目指す人
- コードを書くより、顧客折衝・調整業務が得意な人
- 残業が少なくワークライフバランスを重視する人(大手SIerの場合)
- 大規模な社会インフラ系システムに関わりたい人
「安定・ブランド・ワークライフバランス」を重視するなら、大手SIerは悪い選択肢ではありません。自分が何を優先するかを明確にしたうえで判断することが大切です。
文系エンジニアこそ、SIerからの転職が有利な理由
実は、文系出身エンジニアがSIerからWeb系・自社開発企業へ転職するのは、今がチャンスです。理由を3つ説明します。
① SIer経験は「ビジネス理解力」として高く評価される
SIerで培った顧客折衝・要件整理・ドキュメント作成・プロジェクト管理の経験は、Web系・自社開発企業でも非常に重宝されます。「コードしか書けないエンジニア」との明確な差別化ポイントになります。
特にPdM(プロダクトマネージャー)やテックリード職を目指す場合、上流工程の経験は大きな武器になります。
② ITエンジニアの需要は依然として高い
DX推進の加速により、ITエンジニアの求人需要は高水準が続いています。厚生労働省のデータでもIT職種の有効求人倍率は高止まりしており、SIer経験+プログラミングスキルの組み合わせは即戦力として評価されやすい状況です。
③ 文系出身であること自体が「強み」になる
Web系・自社開発企業は、技術力とコミュニケーション能力を両方持つエンジニアを強く求めています。文系出身でビジネス感覚・言語化能力があるエンジニアは、技術系出身者との差別化ができる希少な存在です。
文系からエンジニアを目指す方向けのロードマップは、【完全版】文系・未経験からエンジニアになるための学習ロードマップもあわせて読んでみてください。
SIerからの転職を成功させる4ステップロードマップ
転職を考え始めたら、以下のステップで動くのがおすすめです。
STEP 1
自分の「やりたいこと」を言語化する
Web系・自社開発・フリーランスなど、転職先の方向性を明確にする。「なんとなく転職したい」では面接で落ちやすい。
STEP 2
不足スキルを副業・個人開発・資格取得で補う
GitHubにポートフォリオを作る。Webアプリを1本作れると面接での説得力が大幅に増す。最低でも3ヶ月は継続的に学習しよう。

STEP 3
IT特化の転職エージェントに登録する
レバテックキャリア・マイナビIT・paizaなどIT専門のエージェントを活用する。一般転職エージェントより業界知識が深く、非公開求人も多い。
STEP 4
在職中に転職活動を進める
焦らず収入を維持しながら活動する。「退職してから転職活動」は精神的・経済的に追い詰められやすいので注意。
まとめ:SIerはスタートとして悪くない。でも長居は禁物
「SIerはやめとけ」という声には、それなりの根拠があります。技術スキルが身につきにくい環境・年功序列・多重下請け構造など、エンジニアとしての成長を阻む要因が揃っています。
ただし、最初のキャリアとしてSIerを選ぶこと自体は必ずしも悪くありません。大規模プロジェクトの経験や、ビジネス感覚・折衝スキルは確実に身につきます。
問題なのは、なんとなく居続けてしまうことです。スキルが身につかないまま年齢だけ重ねると、転職市場での価値は確実に下がります。文系出身でSIerにいる方は、今のうちにキャリアを見直すことを強くおすすめします。行動するなら早いほど選択肢が広いです。


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